就職や転職を考えたとき、介護職の求人を目にする機会はとても多くなっています。
参入する企業も増えていますし、新規に立ち上げられる法人も多数あり、訪問介護事業所は至る所で目にします。
スーパーなどで施設や事業所の制服を来た人を見かけることもあれば、車椅子を押して散歩をする様子も見かけるかもしれません。
人口における高齢者の割合は増加し続けており、専門職者や家族介護者でなくとも、街を歩きテレビを観れば介護に触れる機会は沢山あると言えるかもしれません。
そんな社会ですが、いまだに介護は底辺の仕事だと呼ばれることがあります。
介護だけはしたくない、他人の下の世話なんてよくできるよね、そんな言葉をかけられたことがある人も少なくないでしょう。
介護職はなぜ底辺の仕事だと呼ばれているのでしょうか。今回は介護職が底辺の仕事だと呼ばれている理由について紹介していきたいと思います。
目次
介護職が底辺の仕事と呼ばれる理由
介護職はとても高い専門性をもつ専門職者です。介護について学び高い知識を有すること、さらにそれを実践するだけの能力を持っていることが求められる難しい仕事であると言えます。
しかし社会にそれが認知されているかといえば、残念ながらそうでないと言えるかも知れません。
介護が底辺の仕事であると呼ばれる理由は、専門性が認められていないから。
では、どうして専門性が認められていないのかを少し紹介したいと思います。
学歴や資格が不問である
訪問介護を提供する場合には資格が必要になりますし、ケアマネジャーなどは専門とする業務がありますが、基本的に介護の資格は名称独占です。
介護福祉士、社会福祉士、精神保健士の資格は、持っているからと何かが出来るようになる資格ではありません。
ケアプランの作成についても、実は家族や本人による自作が可能です。
作成をサービスとして実施し、他人のケアプランを作成してサービス提供を行う際に資格が必要となるにすぎません。
これは、介護の本質的に仕方のないことです。
オムツ交換一つとっても高い専門性を必要とする介護福祉士の本領ですが、だからといって介護福祉士にしかできないなどとすれば家族介護が不可能になってしまいます。
医師以外に注射もオペも許されませんし、電気工事士を持たないなら自宅のコンセントであっても増設は違法です。
介護職以外の人にとって、介護にそういった目に見える専門性がないように映ってしまうのかもしれません。
給料が低い
介護の仕事は給料が低いと言われています。特に40代50代での給料は一般的な職業と比べてもとても低いのが現状です。
これは介護の費用を介護保険が負担している点から、元々の支払い能力に限界がある点が問題であると言えるかも知れません。
月に1000万円を売り上げる営業は給料が高いでしょうし、腕の良い建築家には高い金額を払っても依頼が入ることでしょう。
しかし、介護は誰がどのように提供しても同じサービスであれば同じ料金なのです。
給料を高くすることが、そもそもとても難しい仕事であると言えます。
給料をもらうために働いているという意識が高い人からすれば、介護は低給でやりたくない仕事になってしまうことでしょう。
誰でも出来ると思われがち
介護の求人はとても沢山出ています。中には無資格者可、未経験歓迎という求人も少なくありません。
先ほど例に出したオムツ交換でも、関節の可動域や肌の性状、感染症の理解、不快感や羞恥を感じさせない態度、言葉かけ、内出血などを発生させない手技など。
必要となる知識や専門技術を上げればキリはありませんが、ただ汚れたオムツを外して綺麗なオムツを装着するだけなら、誰でも出来るように見えてしまいます。
誰でもできそうに見える業務に、実際に誰でも良いかのように人を求める求人。
資格が無くても従事できる仕事であり、事実オムツをただ交換するだけなら誰にでも出来てしまう。
これらによって「誰にでもできる仕事だ」と考えられてしまっているのかもしれません。
実際の介護職の給料ってどれくらい?
全ての介護職者の給与を調べるという調査は、おそらく行われていないんだ。
特定の施設向けや有資格者向けの調査結果から推測することは出来るけど、人数で平均を出すならホームヘルパーの割合が大きくなるし、その結果フルタイムの正社員の結果とは少し離れた結果になってしまうかもしれない。
<職種別の給料>
<施設ごとの給料>
介護職の平均の給料を紹介することには、実は大きな難しさがあります。
非正規雇用の割合が多い仕事であり、年齢による給料の違いが大きくないこと。有資課者への調査や介護老人福祉施設への調査などは実施されているものの、全ての介護職者を対象とした調査ではないこと。
施設ごとの違いが大きく、反対に各施設内での違いは小さいこと。
地域ごとに介護報酬に違いがあるため、地域の違いが直接給料の違いにもなります。
こうした様々な難しさから、全ての介護職者の給与の平均を出すならそいう灯人数を調査しなければ信用のおける数字にはならないと考えられます。
多くの求人サイトや新聞などのメディアで介護職の給料が紹介されていますが、その差の大きさから驚いたことのある人も多いはず。その理由はこの点になるでしょう。
そのため、実際の給料については各ページを参考にしていただければと思います。
それぞれの資格や施設に関しては厚生労働省が実施している確かな調査結果を参考に作成していますので、信用できる金額を紹介しています。
あくまで主観的なものも含むものだけど、手取り20~25万円が平均になるんじゃないかな?
イメージと実際の仕事内容のギャップ
実際に働いた本人の意見なんだから、これでは介護へのイメージは良くならないよ。
誰でも出来る仕事だ、汚さや臭いさえ我慢できれば良い、そんなイメージで介護業界へ飛びこむ人が後を絶たないというのは、残念ながら事実です。
そして、そうした人たちは多くの場合すぐに辞めていきます。
そして「介護なんてするものじゃない」と否定的な意見ばかりを声高に叫ぶのです。
簡単で誰でも出来ると思っていたオムツ交換が耐えられず、二日目から職場に来ない人もいます。一日に提出する記録の量を聞いて、一週間でやめる人もいます。
こうした人が専門性の高さや難しさ、介護のすばらしさを宣伝してくれることはあまりありません。
こうして、介護職が底辺の仕事であるというイメージだけが広まり続けているのかもしれません。
介護職に将来性について
でも介護報酬を支払う国の財政は少子高齢化が進めば悪化することは想像に難くないし、悪化した財政から増加した高齢者を支える介護給付を行うんだから単価が下がっていくことも想像できてしまうよね。
介護という仕事について語られるとき、介護職者とその他の仕事に従事する人とでは大きく意見が異なります。
これからの仕事だ、仕事に困ることはない、顧客の獲得が簡単だと言われることがあるかも知れません。
介護職者の意見としては、良くなっていくビジョンが見えない中できつくなる未来ばかりが鮮明に見えてきます。
介護が底辺の仕事だと呼ばれる理由は、魅力的な仕事に見えないからであると言い換えることも出来るかも知れません。
給料が低く、誰でもできる仕事で、学歴や資格も必要ではない。確かに、こうしたイメージは仕事の魅力を薄れさせてしまいます。
しかし、それ以上に問題なのは、介護職者が率先して否定的な意見を世に広めている点であると言えます。
給料は安いし、体力的にも辛い仕事だ。高齢者の相手は気を遣うし、デスクワークも多くてストレスもたまる。こうした意見は全ての介護職者が抱き得るものかもしれません。
しかしここまで否定的な意見ばかりが世に出ている仕事というのも珍しいものです。
誰しも自分の仕事には誇りがあるものですが、なぜか介護職者が自分の仕事を自慢するように語る場面を見ることはあまりありません。
介護の仕事は国の管理する範囲が大きく、確かに明るい未来の広がる仕事ではないかもしれませんが。
かつて看護職者が専門性を世間に訴え、ナースという呼び方を変え、制服をズボンにし、ナース帽を脱ぎ、給料と待遇を改善した運動がありました。
医療が絶対に必要な職種である以上、この様に働きかけては処遇を改善するしかならないのです。
介護が国に管理された仕事である以上、介護職の将来を明るくするためにはこうした介護職者の意識の改善が不可欠です。
一人ひとりが誇り高い仕事して働き、愚痴ではなく正当な意見として世に働きかける。
その第一歩は、自分が楽しいと感じながら働ける職場で働きながら、友人に笑顔で仕事の話をすることかもしれませんね。
看護師のほとんどが日本看護士会に所属するのに対し、介護福祉士では半分も所属しないんだ。それでは陳情書も意味をなさない。
当の本人である介護職者が仕事に絶望していることが、介護を底辺の仕事と呼ばせているのかもしれないよね。
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