適応障害はうつ病と比べればマイナーな精神疾患かも知れませんが、仕事のストレスなどを原因に発症する身近な病気です。
うつ病との誤診も発生しやすい病であり、勘違いされやすい病気であると言えます。
介護の仕事をする中でも、適応障害を発症する人は少なくありません。
今回は、適応障害になったときの対策、介護との向き合い方を紹介します。
適応障害になってしまう人の特徴
適応障害になってしまう人の特徴としては、うつ病になりやすい性格的特徴と重なる部分が多くあります。
中でも、ストレスに対する耐性が低いというのが大きな特徴です。
一般的には小さなストレスを感じながらも喜びの方が大きくなる場合の多い進学や昇進などでも、環境の変化によるストレスの方を大きく感じてしまうなどの性格的な特徴が見られます。
当然ながら、誰でもストレスを受ける体調不良や劣悪な人間関係などの環境においては、より大きなストレスを受けることになります。
ストレス耐性が個人によって異なることは科学的に証明されており、同じ環境に置かれた場合でも、ストレス反応を示す度合いはストレス耐性の強さによって異なります。
ストレス耐性が弱いと適応障害になるという訳ではなく、ストレスを感じた際の反応が強く表れるという事だけを示しています。
嬉しい時に動悸が速くなる、悲しい時に涙するのは感情が大きく揺らめいた際の反応です。
生体の働きがバランスを崩している際の反応であり、感情の揺らぎもストレスであると言えます。
感情豊かな人はストレスを感じた際に素早く、適切な反応が出来ているといえるでしょう。それだけストレス耐性が高いと説明できます。
反対に感情の表現が苦手な人は、ストレスを内にため込みやすくストレス耐性が低いと言えるのです。
広義では喜びもストレスであり、嬉しい時に喜ぶという反応を素直に示さることもストレス耐性であるという点が伝えたいことだね。
感情を抱え込んでしまう人はストレスへの反応が十分でない場合があり、ストレス耐性が低いのかもしれないよ。
適応障害では、ストレスに対して過剰に反応してしまう形で症状が現れます。
攻撃性が高くなったり、抑うつ状態に陥ったり、極度の不安感を感じたりなどです。
ここで重要なのは、仕事は誰にとってもストレスの原因になり得ますし、誰でも仕事のストレスに対して反応を示しているという点でしょう。
しかしその内容が飲酒であったり、愚痴をこぼすであったり、ちょっとした倦怠感であったりなど、社会生活に影響しない軽度なものにとどまるのです。
決して、ストレスを感じていない、ストレスに対して反応をしていない訳でない点が重要です。
ストレスへの対応が円滑に行えないというのが、ストレス耐性が低い人だと言えます。
介護職が適応障害になってしまう原因
適応障害はストレスに対して過度な反応を示す病です。仕事を原因に発症する場合には、仕事にストレスの原因があります。
そのため、ハードな業務内容や不規則な生活リズム、認知症高齢者への対応など、介護業務においてストレスを感じる場面全てが原因となり得ます。
中でも大切なのは人間関係です。例えば学校は、勉強や早起きを強いられ宿題で自由が損なわれるというストレスの原因になり得ますが、適応障害の原因となることは稀です。
それは、学校という環境が子供にとって友人と集う場でもあるためです。
信頼できる友人との関係は、愚痴をこぼしてフィードバックとしてアドバイスをうけるという天然の認知行動療法、対人関係療法の場になり得ます。
同様の関係性の中にあるという連帯感は、ストレスに対して素直な反応をしやすくします。
対して介護施設における介護職員の人間関係は、ドライなものになりやすい傾向にあります。
業務内容が介護であり、愚痴をこぼすことが倫理的に良くないことであるように感じられる。女性が多く、家事などで自由な時間が少ない中ではプライベートな関係は構築されづらい。
更に問題を加速するのは、介護施設内の愚痴は個人情報保護の観点から外部の友人には話しづらい点かも知れません。
中には、介護職内で旅行に行くような密な友人関係を構築している施設もありますが、往々にしてそのような施設では精神疾患を理由に退職する人は少ないものです。
「環境に適応できてない障害」である以上、友人がいれば環境にある程度適応しているとも言えますし、また適応を助けてくれるのも友人です。
適応障害を考える場合、人間関係は大切なキーワードであると言えるでしょう。
適応障害から回復するために
適応障害は、原則的にはストレスの原因から離れた上ではありますが、実は時間経過によって改善することもある病です。
そのため、服薬による治療が積極的に行われるものではないようです。
認知行動療法や対人関係療法と呼ばれる、一般的にはカウンセリングと呼ばれるような手法によって、考え方や感じ方を変容していくという治療が実施されます。
どうすれば良かったのか、どのように考えるべきだったかを考えることで、同様の環境においても強いストレスを感じずに過ごせるようにしていくのです。
もしくは環境を調整し、ストレスの原因から離れます。
ストレスに対する対応として、スポーツの習慣化や食事の改善などが実施されることもあります。
適応障害は症状も様々で、治療には専門知識が必要です。
考えや行動を変容させると言っても、他人がアドバイスをしてきて全てを素直に受け止められる訳でもなく、だからこそカウンセラーは専門職なのです。
しっかりと専門の病院に受診し、治療を行いながら医師と相談することが回復への近道であると言えます。
復帰する時には転職するという道もある
適応障害の診断基準にも、ストレスの原因から離れることで改善すると規定されている。
職場復帰をする場合、ストレスの原因に対して対処が出来ているべきです。転職は最も簡単で手っ取り早い手段ですが、そればかりでもありません。
ストレスの原因が特定の入居者であり、その入居者に適応できていないならば担当を外れるだけで十分な場合もあります。
特定の同僚との人間関係を原因とするなら、シフトに少し配慮してもらうだけでも効果があります。
どのような原因であれ、一定の効果が期待できるのが転職なのです。
しかし介護そのものに強いストレスを感じるならば、介護業界内で転職しても効果がない場合もあります。
まずは自身のストレスの原因、ストレッサーを見極めること。そしてストレッサーとの付き合い方を検討する事が大切です。
そして「距離を置く」という選択も含めて検討するべきなのです。
しっかりと医師と相談しながら職場復帰を検討して、その時に僕のアドバイスが少しでも役に立ってくれれば嬉しいな。
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