介護老人保健施設は老健と呼ばれ、特養と並んで有名な介護施設です。
安定期のリハビリテーションを行いながらの在宅復帰を目的としており、入所期間が原則3か月と短期間に設定されている点が大きな特徴です。
また特養と比べた場合には医療法人が設置主体となりえる点や、管理者が常勤の医師に限定される点なども制度上の大きな違いです。
今回は介護老人保健施設に転職する前に知っておきたい4つのことを確認し、失敗のない転職のために活かしていただければと思います。
目次
老健の特徴
医師が必ず常勤するなど医療面に特化している
老健は医療法人でも設置でき、実際6割以上は医療法人によって運営されているようです。
医師の常勤以外にも「理学療法士、 作業療法士又は 言語聴覚士」「薬剤師」の設置基準が存在する点、看護師の人数が多い点などで人員配置にも医療面への特化が見られます。
定義としても「看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常 生活上の世話を行うことを目的とする施設」とされていることから、医療面の充実が見て取れます。
在宅復帰を目的としており、入所期間が原則3か月とされている
3か月以内の退所を原則としており、以降は概ね3カ月毎に退所か入所継続かの評価を行うこととなっています。
実態としては家族介護が困難なケースなどで長期化も見られるため400日以上、一年半程度の入所も多いので全てとは言いきれません。
しかしながら、リハビリテーションなどを通して、在宅復帰を目指すことが重要な点であることは老健の特徴と言えます。
老健で働く前に知っておきたいこと
介護老人福祉施設の給料
医師や薬剤師などの医療職者の給料があるから、そこで差がついた感じじゃないかな。
医療法人という法人の大きさ、施設規模の大きさ、常に順番待ちが発生している安定運営によって給料は高くなっていると考えられます。
それでも特養より低い金額になっている理由としては、医師などの専門職者の存在があり、介護報酬と加算という一定の財源を分配する先にあるのではないでしょうか。
介護老人福祉施設の仕事内容
1)医療法人が運営したり医療専門職者の人が多いため医療的意見が強くなりがち
介護職が多数を占める他施設に比べて医療面からのアプローチが強くなったり、連携の上での介護職の役割に変化が見られます。
不眠を例に挙げるなら、前日の日中活動や食事などに注目する介護的なアプローチも当然行いますが、服薬管理やバイタルの変化、疾病など医療面からのアプローチが意見として強くなる傾向にあるようです。
連携においても介護をしている中で体調不良などの際に看護師に声をかけるという形より、療養上の問題が発生した際に介護士が声をかけられるという形の割合が増えることでしょう。
2)短期間の退所が前提のため信頼関係の形成やADLの理解にかけられる時間が短くなる
在宅復帰に向けたリハビリなどを前提に入所する以上、入所時の事前情報は在宅復帰の妨げとなっている症状に注目したものになっている場合があります。
病院を退院になり直接入所する場合が多く、サービス計画もリハビリや在宅復帰を前提としています。
生活の空間という認識は入居者にも職員にも弱く、病院の延長として捉えられる場合も少なくなりません。
入居者、利用者というより患者に近く、加齢に伴う変化や認知症に寄り添う介護よりも在宅復帰に向けた回復に寄り添う治療に近い。
仕事内容全体で、温度の違いや考え方の違いを感じる場合が多いでしょう。
介護老人福祉施設のメリット・デメリット
メリット
- 他の介護施設とは違った、在宅復帰というやりがいを感じられる
- 医介連携が強く、介護職中心の施設とは違ったチームケアが出来る
- 自宅や次の施設へ向けて退所していくので、死亡退去の割合は特養などと比べて低い
デメリット
- 介護職主体で展開される介護とは良くも悪くも大きく異なる職場で、戸惑いも大きい
- 今まで慣れてきた介護現場との目的意識の違いで、やりがいを感じられない場合もある
介護老人福祉施設のやりがい
介護現場で働いていて、ご家族からお礼を言われる場面は多々あります。
転倒などの事故があった時でも、対応に対してご家族からお礼を言われる事も少なくありません。
また、看取り介護の後でご家族から頂く暖かいお言葉は身体が震えるような感覚で、看取り自体の疲労や負担を忘れさせてくれます。
老健においては、自宅や次の施設に向けて退所していく入居者様ご本人からお礼の言葉を頂く場面があります。
そもそも帰りたいという言葉は介護職ならビクッとしてしまう、対応に困る帰宅願望ですが、老健ではそうではありません。共に目指せる目標です。
一緒に在宅復帰という目的を果たし、感謝され、退所していく利用者を見送る。
老健ならではのやりがいはそこにこそあるのではないでしょうか。
老健の求人の探し方
安易に転職すると失敗したと感じてしまうこともあるかもしれないね。
老健には、在宅強化型や加算型と呼ばれる在宅復帰に意欲的な施設があります。
他施設ではなく在宅に復帰する割合を重視したり、ベッド回転率に基準が設けられて短期間で退所していく様に務めるなど、まさしく老健の理想的な姿と言えるかも知れません。
ユニット型の施設も少ないながら存在しますし、老健ならではのやりがいを感じながら働ける職場もあるでしょう。
しかし特養化が問題視され、入所継続の検討も形だけという施設もあると言われています。
医療職者と介護職者の間で、人間関係に悩まされる施設があることも事実です。
介護求人サイトは、様々な職場で働く介護職の人から施設の情報を聞いている立場になります。
そのため、老健の中でも在所日数が短くて在宅復帰への取り組みに積極的な施設の情報も知っているというケースも少なくありません。
自分が住んでいる地域にある老健がどういった施設かを介護求人サイトから聞き出し、転職先の選択肢に加えてみるのも良いかもしれませんね。
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特養から在宅まで幅広い求人の紹介が可能
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それぞれの施設で働くメリット・デメリットも事前に教えてもらえるので、「入ってみたらイメージと違った…」ということもなくミスマッチになるケースもほとんどありません。