介護職であれば、自分自身や同僚がぎっくり腰になったことがある人も少なくないかもしれません。
ぎっくり腰とは俗称で正確には急性腰痛症であり、急性腰痛症は関節捻挫や筋膜性の炎症などの症状による腰部への突然の痛みが主症状です。
基本的にはひと月程度の治療で9割が回復し、ヘルニアなどの明確な原因を有する割合も低い、突発的な動作や事故を原因に発生する場合の多いものです。
しかし、脊椎すべり症やヘルニアなどを原因として発症する場合もあり、痛み止めを飲んで我慢していれば良いというものでもありません。
そこで、突然発生するぎっくり腰について、原因や予防策を紹介したいと思います。
目次
ギックリ腰と介護職の関係は?
ぎっくり腰には、必ずしも原因疾病があるわけではありません。
年齢や男女比も偏りがあるわけではなく、慢性的に腰痛があるからといってぎっくり腰になりやすいとも言えないのです。
だからといって、ぎっくり腰になりにくい訳ではありません。
ぎっくり腰の原因は突然の運動や加齢による関節、筋肉の衰えであると言われています。
介護職で慢性の腰痛がある場合でも、突然の運動や突発的な腰の動きによってぎっくり腰になることはあります。
誰でもなる可能性があり、それは介護職でも例外ではないよ。
ギックリ腰になってしまう原因
寝て起きたら激痛で動けないような場合でもぎっくり腰と呼ぶし、これといった原因はない場合も多いんだよ。
ぎっくり腰は、ヘルニアや脊椎すべりを原因とするばかりではありません。
むしろ、介護などの身体を動かす仕事とは関係のない事務職などで、物を持った時になる事もあります。
他にも重いと思って軽いものを持ち上げるような場合に、過度に力んでしまうことで関節捻挫が発生することがあります。
寝ているだけで発症することもあり、消しゴムを拾うような何でもない動きでも発症するところがぎっくり腰の特徴でもあります。
ぎっくり腰全体で考えるなら、本当に誰でもなる可能性があると言えるかも知れないね。
ギックリ腰になった時の労災
対してぎっくり腰は動作や事故が明確な原因であり、その原因に業務との関連性が認められないといけないんだよ。
ぎっくり腰は、基本的に突然襲ってくるケースが多いです。
慢性的な腰痛と異なり、何かを運んだ、拾った、転んだなどの原因が明確に存在します。眠っている間に発症した場合でも、睡眠中の姿勢や寝返り動作などの原因が存在するでしょう。
そのため、労災認定は「災害性の原因によるもの」として判断されます。
慢性的な腰痛の場合には「災害性の原因によらないもの」として判断されるため、判断基準が全く異なるのです。
災害性の原因によるぎっくり腰では、原因そのものの業務起因性と業務遂行性が求められます。また、原因に災害性が認められなければなりません。
この判断は非常に難しく、動作が業務に起因するのか、その動作に業務を遂行する上での必然性が認められ、事業主の管理下にあるのかという判断が行われます。
通常一人で介護を行う場面で、いつも通り介護を行っていたらぎっくり腰になった場合でも、ぎっくり腰は認められないことが多いものです。このケースに災害性は認められないでしょう。
介護職でぎっくり腰が労災として認められるケースは多くありません。
休日はもちろん、業務中であっても災害性が認められた上で、業務起因性の災害としてぎっくり腰が労災認定されることは稀です。
介護業界では、ぎっくり腰に関する労災は泣き寝入りするケースが多いようです。
ぎっくり腰での労災認定を申し出る場合は、あまり認定されないものとして考えておいた方が良いかもしれないね。
そんなケースなら、もしかすれば認められるのかもしれないね。
ギックリ腰にならないための予防策
ぎっくり腰の予防に、特別な方法はありません。
治療でも痛みで眠れないようなことのないように鎮痛剤や湿布が処方されるだけで、ある程度回復してからはサポーターと筋力トレーニングで痛みを感じないようにするなどの消極的な治療が基本になります。
手術を必要とするようなヘルニアなどの原因がない場合には、予防も治療も特別なものではありません。
そのため、予防には普段から無理な動きをしないようにすることと、筋力の低下を防ぐこと位しか方法がないのです。
過労状態や睡眠不足な状態では発症しやすくなるため、身体は常に健康に保っておくことも重要になります。
介護福祉士試験における介護実技では、軸足を動かさず、身体もねじらずに介護をする技術が求められます。
基本に忠実なボディメカニクスを活用した介護を実施することが、ぎっくり腰を予防するうえで最も大切になるでしょう。
腰を痛めない介護施設に転職する
過労状態や睡眠不足も発症しやすくなるから、職場の負担が大きいならば転職するのも一つの手だね。
基本的に、ぎっくり腰は過負荷の運動を原因とします。
例え物を拾うだけの動作であっても、その時の腰の状態に対して負荷が大きかったのが原因であると言えるでしょう。
腰回りの筋肉や関節の状態、力の入れ具合などで腰にかかる負荷の大きさは変わるため、普段からの運動習慣なども大切になります。
体重の重い利用者や下半身不随などの重度介護者が多い施設、介護用品が充実しておらず高さ調整のできないバスチェアなどが使用されているような施設では、腰にかかる負担も大きなものになります。
逆に全居室にトランスボードが設置されている、機械浴への移乗は機械式で行われるような施設では身体的な負担は小さくなるでしょう。
施設選びの中でも施設見学をしっかりと行うことが出来れば、身体的な負担の大きさをある程度予測することが出来ます。
設備が整い、自立度の高い利用者が多いような施設を選び、施設見学でも設備の新しさや居室設備などをしっかりと確認することが出来れば、負担の小さな施設で働くことが出来るでしょう。
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