介護という仕事のイメージが悪い理由を聞かれたとき、第一声は「給料が安い」か「3K」になるのではないでしょうか。
そして3Kの苦しい内容にもかかわらず給料は安いという条件が、介護という仕事をイメージの悪いものにしているとも考えられます。
介護職が底辺の仕事と呼ばれている理由についても、そのようにご紹介いたしました。
今回は更に詳細に、3Kと呼ばれている理由についてご紹介していきます。
目次
介護職が3Kと呼ばれている理由
介護の仕事が3Kと呼ばれている理由は、きつくて汚いからかも知れません。危険、給料が安い等の内容が三つ目として叫ばれますが、この二つは多くの場合で共通しています。
きつくて汚い仕事というイメージは、およそ介護が注目され始めた昔から継続しています。
これはおむつの交換や入浴、食事などの基本的な介護が介護職の主だった仕事と考えられていたころに、定着してしまったイメージであると言えるでしょう。
ベッドはモータを搭載せず、低いベッドと高さの調整も出来ない車いすの移乗。オムツも布おむつで吸水性も悪く、衛生的にも管理が甘かった時代のイメージとして、きつくて汚いという面ばかりが押し出されてしまっていたのでしょう。
まずはこの二点について、それぞれ考えていきたいと思います。
きつい仕事である
介護はキツイ仕事であると言われます。夜勤や早出などの不規則な勤務形態は介護施設が出来た当初からのものでしょうし、昔は介護関連用具も整備されていない環境での介護でした。
今以上に女性の職場であった介護現場で、筋力や体格的に自分より重い人を抱えるという事自体に無理のある女性が、今のように介護技術に関する教育体制や体系化された知識が形作られていない時代に介護を提供することは、現代とは比べ物にならないキツさであったと想像することが出来ます。
介護福祉士という資格自体が平成元年に第一回試験が行われたという若い資格です。
年一回の試験ですから、今までに30回も実施されていません。
トランスファーに関する基本的な原則すら学ばずに、移乗介助をしていた時代が非常に長いのです。
キツイ仕事であると言われても仕方ないのかもしれません。
汚い仕事である
介護は汚い仕事であると言われます。介護の仕事として一番に思い浮かぶのはオムツ交換でしょう。
当サイトでも、介護に関する例を出す際にはオムツ交換がよく出てきますし、介護の専門教育機関などではオムツ交換の講義、実技に相当な時間をかけます。
今、介護職者がオムツ交換をする理由を問われるならば「清潔でありたいという潜在的なニーズに応えるため」「尿路感染などリスクを回避するため」と答えることが出来ます。
オムツの交換は目的ではなく、なんらかのニーズを充足し快適に生活をするための手段です。
しかし、今のように倫理観や自己決定の尊重などの価値観が成熟していなかった時代には、オムツを交換するという目的の為にオムツ交換が実施されました。
汚れたから交換するという事です。それでは汚い仕事であると感じても仕方のないことかもしれません。
働いている介護職者本人の中にさえ、汚れているもの、汚いものという意識が根付いていたのです。
最近では4Kと呼ばれるようになってきた
以前ネット上では、①キツイ②汚い③危険④苦しい⑤給料が低い⑥腰が痛い⑦休憩が取れない⑧休暇が取れない⑨格好悪い⑩窮屈⑪臭いという11Kが紹介されていました。
ここまでくれば圧巻ですが、確かにどれも介護職者の悩みであるかも知れません。
簡単に自分の意見を表現できる時代に、人材不足による求人倍率の良さや将来性などから若い人材が介護職に就く事も増えてきました。
転職も活発で、様々な仕事に関する情報がネットに溢れています。
給料が低く、休みは不定期で、年中無休。確かに介護という仕事が本質的に抱える課題は、他の様々な仕事と比べた場合に悪い条件に映ります。
それが介護職者の愚痴のような形で、もしくは経験者からの忠告のような形で世に加速度的に広まっているのかもしれません。
そんな中で「結婚できない」というものは、最近になって叫ばれ始めたものでしょう。
他のKとは少し色合いの違う「結婚できない」について、紹介していきます。
結婚できない仕事である
介護職者が結婚や恋愛に関して抱える課題は決して少なくありません。祝日でも通常の通り介護を実施し、場合によってはイベントを実施するためにより忙しくなります。土日も関係ありません。
夜勤に早出などシフトが不規則で、明日早出だからと遊びを断った経験は介護職者にとって一度はあるものでしょう。
結婚する時は男性なら経済的な安定、女性なら家事への従事が求められますが、低給料で不安定なシフト勤務はどちらもを難しくしているかもしれません。
施設や事業所で働いていれば、そこから外に出て仕事をすることはありません。介護職同士の連携は密に取りますが、仕事の中で出会いも少ない仕事です。
髪を染めることも、アクセサリーやネイルアートも禁止され、仕事中は過剰なメイクも出来ません。女性にとっては死活問題です。
これらの不満が結晶化したものが「結婚できない」というものです。
これについて、どれだけ言葉を尽くしたところで否定することも難しく、確かに介護職として働きながら出会い、恋愛し、結婚することは困難かも知れないのが現状です。
結婚できないことに個人的な魅力を指摘することもできないよね。出会いに溢れる介護の職場や日勤のみでカレンダー通りに休む施設は一般的ではないからね。
介護職は大変な分やりがいも大きい
介護職は確かに大変な仕事です。4Kばかりでなく、11Kかも知れません。
しかし、それに見合うだけのやりがいのある仕事であるはずです。
家族でも医師でもなく、人の臨終に立ち会う事を許される仕事は介護くらいですし、治療する方法などではなく「生き方」「死に方」を考えることのできる仕事はまさしく介護だけです。
仕事に誇りをもって、いきいきと働くことが出来れば、その人は魅力的に見えるのではないでしょうか。
そんな事より休みも取れなければ給料も低い介護職は旅行も満足にいけないという点の方が問題なのかもしれませんが。休みが取りづらく給料が低い仕事なら介護以外にも沢山あります。
むしろ後ろ向きに不満ばかりが先行している今の社会にこそ、介護が3K、4Kと言われる原因になっているのかもしれません。
誇りを持って仕事をするために
きっとお母さんはオムツを交換することで泣き止んで欲しくて、笑ってほしくて交換しているんだよ。
オムツの中が気持ち悪いのを解消してあげるという目的の為に、手段として交換してあげてるんじゃないかな。
私たちの仕事は高齢者を生かし続けるために、死なないように、ご飯を食べさせることではありません。
汚れているからオムツを交換する訳でも、見てないと転ぶから見ている訳でもないはずです。
その人のニーズを捉え、より快適で安楽に、幸福に過ごすための手段として食事介助を提供し、オムツ交換を実施しています。
だからこそ経口で摂取する手段を探して安易に胃ろうを増設せず、一日でも長く、介護を必要とする状態でもトイレで排泄できる方法を探しています。
明日も明後日も、来月もトイレに座ることができているなら、それだけで誇らしい事です。
オムツを装着することになっても、胃ろうを増設することになっても、その本質は変わりません。
なぜ介護を提供しているのか。今実施している介護がどんなニーズに応えているのかを意識することができれば、それだけで介護という仕事に誇りを持つことが出来るかも知れませんよ。
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