介護の仕事はストレスの多い仕事であり、精神疾患に悩まされる介護者は少なくありません。
強い抑うつ状態などの症状が現れないことで精神疾患に悩みながらも働き続ける介護職者も少なくはないでしょう。
うつ病や適応障害と比べると少しマイナーなパニック障害かも知れませんが、介護職者の中にも決して少なくない人数が悩んでいる心の病です。
今回はパニック障害に悩む介護職者向けに、上手な付き合い方をお伝えしたいと思います。
精神疾患では医師への相談としっかりとした治療が大切ではありますが、参考にして頂ければと思います。
目次
パニック障害になってしまう人の特徴
パニック障害になりやすい人について、明確な研究結果は示されていません。
そんな中で指摘される中に幼児期の家庭環境などがあります。一部を紹介いたします。
- 虐待や支配的・批判的・指示的な両親のもとで育てられるなどの経験
- 攻撃性の高い性格
- 怒りへの耐性が低い
- 遺伝による影響
怒りへの耐性については、脳内で分泌される神経伝達物質の先天的な不足などが指摘されることもあり、これも関係するのかもしれません。
双子の一方が発症した場合もう一人にも発症リスクが高い事も分かっており、遺伝よる影響も指摘されています。
パニック障害については様々な研究がなされるものの、明確な答えは出ていないのです。
パニック障害については明確な答えが出ていないと考えるしかないけれど、幼少期の性格形成や遺伝が指摘されているから、個人に責任を求める必要はないという事は確かだね。
パニック障害の症状について
パニック障害では、その名の通りパニック発作が発生します。
激しい動機や過呼吸、頭重感、身体が硬直して動けなくなる、手足が震える、めまいなどの発作的な症状が発生してしまうのが特徴です。
これらは身体的な理由によって発生する物ではなく、胸がつぶれるような圧迫感を感じても実際には胸部に全く異常はありません。そのため原則的には身体的な危険のない発作です。
社会生活上は発作を理由に仕事が出来なくなるなどの支障が発生し、強い恐怖や不安を感じるため、理解されづらい苦しい症状になります。
予期不安とは、また発作が発生してしまうのではないかという考えから発作の発生した場所などに対して不安を感じるようになることです。
広場恐怖ではさらに不安の対象が拡大し、人がいる空間自体に恐怖を感じるようになっていきます。
これらの症状はそれ自体が強いストレスとなり、症状の慢性化や悪化に繋がります。
この負のスパイラルによって、家から出ること自体に恐怖を感じるようになってしまう、引きこもりがちになるのも特徴です。
しかし、全てのパニック障害がこの通りという訳ではありません。
不安神経症と呼ばれた通り、不安を原因として発作的な症状が発生して、日常生活に支障があればパニック障害と言えるのかもしれません。
診断では発作と広場恐怖の有無が重視されるので、原因や発作の内容については個人差があるのは当たり前でもあります。
精神疾患は基本的に医師でなければ判断が難しいものです。症状や状態に応じて、早めに病院を受診することが大切であると言えます。
介護職がパニック障害になってしまう原因
パニック障害を発症する原因も、科学的に証明されているものではない。
パニック障害の原因についても、明確な答えが実証されているものではありません。
広場や道の真ん中でも突然発作が襲うため、パニック発作に何らかの不安や恐怖の対象が存在しないこともあります。突然発生する発作自体が不安の原因ともなります。
一度でも職場で発作が発生すると、また発作に襲われるかもしれないという恐怖が予期不安となり、職場全体が恐怖の対象になっていくのです。
職場全体や家の外などに恐怖の対象が拡大されていくのは、パニック障害の特徴です。
パニック障害を乗り越えるために
やはり精神科医やカウンセラーなどの専門職者が従事すべきだけど、乗り越え方については少しだけ紹介しておこう。
パニック障害の治療では、心理教育というステップが重視されます。パニック障害、パニック発作に本人の責任は関係ないのだということを医師の口で伝えるのです。
発作に命の危険があるわけではなく、外に出て生活すること、仕事をすること自体に危険はないことを心で理解していくことが大切です
認知行動療法や対人関係療法として、恐れている状況への対応を考えたり呼吸法などを身につけて、不安を感じる場面を発作的にならずに過ごす手法を検討します。
全ては個人の症状に合わせた治療であり、悪いところを治すというよりも自己と向き合い付き合うという過程を必要とする場合がほとんどかも知れません。
重症化しないようにパニック障害と向き合う時には医師に相談しながら、ゆっくり時間をかけることが大切だね。
生活改善のために転職も視野に入れる
生活全体を改善することでパニック障害と上手く付き合うことが出来るかも知れないね。
ストレスが原因で発症する病ではないものの、ストレスと精神疾患には切っても切れない関係があります。
過労などで免疫や体力が衰える、喫煙習慣やカフェインの摂取過多が関係しているともいわれています。
パニック障害が転職によって改善する訳ではありませんが、自己と向き合いパニック障害を治療していく過程では、仕事とも向き合うべきかもしれません。
転職をしたとしても治療は続けなければいけませんが、介護という仕事は精神的にも身体的にも負担の大きな仕事です。
昼夜の生活リズムが適切で、ストレスの小さな職場へ転職することも正しい選択です。
自分の生活歴や性格などに精神疾患を発症しやすい特徴があるならば、考え方を変容すると同時に環境も整えていきたいね。
日勤のみで働ける職場を探そう
生活リズムが改善することは睡眠時間の確保にも繋がる。日勤のみで重度介護も少ないデイサービスなどへの転職も検討すると良いかもしれないね。
うつ病やパニック障害、適応障害などの精神疾患は、再発率の高さも特徴の一つです。
症状が現れず、服薬治療が終了すれば完治とも言えますが、性格や生活歴が入れ替わるわけではありません。そのため、一度発症した人が再発する可能性は決して低くないのです。
それを嘆く必要はありません。むしろ自分の性格や考え方をしっかりと理解し、再発のリスクと向き合う事が大切になります。
再発を避けるために、食事や生活習慣、日常で感じるストレスを減らすというのは必要な対処でもあります。
仕事は成人後の人生において最も長い時間を過ごす場になります。介護であれば特に、長期休暇などもなく施設で夜を過ごすこともあるのです。
ストレスから逃げる、仕事から逃げるというような捉え方では転職は逃げのように感じられるかもしれませんが、そうではありません。
再発する可能性や、自身の性格などをしっかりと理解し、リスクマネジメントとして、自分が最高品質の介護を提供できるようにする品質管理として、転職も視野に人生を考えてみてはいかがでしょうか。
精神疾患は辛く、完治までに時間もかかり、自殺する人もいるという意味では今の世の中において死亡率の高い病であると言えるのかもしれません。
しかしマイナス面だけに捉われるのではなく、自分を見つめ直し生き方を考える機会を得たのだという風に考えることが出来れば、それは病を乗り越えたのだと言えるのではないでしょうか。
考え方を変えていく認知行動療法も、アドバイスや説得ではなく療法であり、治療なんだ。
決して一人で抱え込まず、まずは医師に相談し、治療を行って欲しい。
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